後輩
最後に会ったのは3年前だった。
今年の春、彼女は大学を卒業するらしい。
昔話に花を咲かせていると
忘れていたものを取り戻したかの様だった。
そんな気分もつかの間で
ある人の事を思い出した。
彼は人当たりが良くて
言葉の扱い方をよく分かっていた。
そして傷つけずに人を振る方法も知っていた。
でも私は気づいてしまった。
何かが違う。
誠実な人間ではなくて
何かを隠しているような顔をしていた。
それに気づくのはあまりにも早すぎた。
だから他の女の子の話を聞いても驚きはしなかった。
ただ、ああやっぱりなと思った。
静かに冷めていったはずなのに
知りたくなかった話なのに。
少しずつ日常を取り戻したかったのに
どんどん抜けられない闇に落ちていった。
何の光もなく、ただ真っ暗で広いだけだった。
こんな話をするのは久しぶりだったけど
ただもがいて自暴自棄になるのは
もう私は卒業したい。
1つ1つ丁寧に積み上げていきたい。
今の願いはただそれだけ。
未来が見えなくても少しずつ
崩れないように。
はなむけを捧げられるような人になりたい。
また会える日まで。